梅田氏は、『心身一如』という考え方をもとに、運動による心身の健康づくりを提唱されています。
普段は企業や団体、自治体などでの講演や医療機関での運動療法、学校など教育機関での開発、研究や指導者の育成を行っています。
東日本大震後には現地で被災された方々への心のケアをおこなわれており、今回の講演ではその活動についてご講演いただきました。そして、エクササイズ指導がメンタルヘルスケアにどのように有効であったかを実践を交えてお話しいただきました。
「東北ですぐに受け入れられたわけではありません。とても難しかったです。でも、中に入ることができれば皆さんとても優しく受け入れてくださいました。」 と梅田氏はいいます。そして、どの方に話しても「私は大丈夫」、「みんなの方が大変だから」と口をそろえておっしゃり、東北特有の我慢強さを垣間みたそうです。
ですが、多くの方々が気遣いあって生活している避難所では我慢すること多くなってしまい、心にストレスを与えてしまっているとのことでした。
「皆さん息を押し殺して、声を押し殺していたんです」
「閉じている心を開放するために、まずは身体をほぐす必要がある」
梅田氏の被災地でのケアは、まずは凝り固まった身体から開放していくというもので、手足だけでなく声を出してみる、といった方法でアプローチされたそうです。
その方法は、隣の方と「わぁ」と言い合ったり、可笑しい写真を見て笑ったりするという面白いものでした。こうして声を出しているだけで、不思議と気持ちが開放されてほぐれていくそうです。
会場でも、この隣同士で声を出し合ってみる方法を実践し、みるみる楽しい雰囲気に包まれました。
椅子に座ったまま行うことのできる簡単なエクササイズをご指導いただきましたが、皆さんあまり運動をされていないのか、ぎこちない動作が印象的でした。
自律訓練法。 最後に音楽による身体と心のアプローチが行われました。
五感を使用してのセミナーは心にも身体にも優しいセミナーで、 ゆっくりと身体から緊張が抜け、じんわりと身体が温かくなってゆくのがわかります。
適度な所作で身体を動かし、心の緊張も解きほぐしてゆく。 このセミナーを機会に、一人一人の日常で身体と心に向き合うひとときが生まれることを願っています。
(文責:山根)
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