京都流議定書2011

京都流議定書2011イベントレポート
幸福論を考える

出演:
堀場雅夫氏(株式会社堀場製作所 最高顧問)
川畑保夫氏(株式会社沖縄教育出版 代表取締役社長)
門川大作氏(京都市長)

幸福論を考える ◆今の日本の状況について

堀場氏「災害の有る無しに関わらず価値観の転換を迫られていた。近代型西洋文明の限界にきている。科学技術も、素晴らしい発展を遂げたが、生命の分野に自然科学が入り込んだのは、虎のしっぽを踏んだのでは」

堀場氏「今日本が一番変えなければならないことは、集団の時代から個の時代へ移行すること。もっと1人1人の人間が、アイデンティティーを持って生きると、周りの人もイキイキしてくる」

◆個が輝く経営について

川畑氏「21世紀は多様性(ダイバーシティ)がキーワードである。社会も多様性があるから楽しい。企業にも必要である。仕事はまつりだ!芸術だ!とやっている。彼ら(障がい者の方々)がいるから毎日感動とドラマがある」「仕事はいかに効率よくこなすかしか教えてこられなかったが、いかに愛を、想いをこめるか。どんな仕事も雑用はない」

堀場氏「自分の好きなおもしろいことをしたときが成功率が高かった。おもしろいことをしていると疲れない、新しい発想が生まれる」

門川氏「京都市の聾学校で、学校の生徒が実習としてさまざまな企業において職場体験を行い、5年連続就職率100%の成果をあげている。生徒にとっても自己実現・社会参加が可能となる。同時に会社がその人が輝くことができるような職場環境をつくる、といった良い循環が生まれている」

◆東日本大震災後の変化について

堀場氏「空襲を思い出したが、今回3.11が起きて、特別自分の考えが変わるということはなかった。ただ、人からされたことに対して黙って耐え、自分がしたことに対して大騒ぎするような民族に、日本はいつからなったのかと懸念している」

川畑氏「被災された方同士だと、自分のたちの弱みを見せることができない。だが、うちの職員には電話越しに泣きながら話してくれた。こういう時こそ、自分たちが日々していることをしっかりとすることが大切なのでは。それが良い社会につながるのでは」

門川氏「沿岸部はすぐさま避難しているケースが見られた。沿岸部は漁師町が多く、家族的な絆やコミュニティ意識が強いのではないかとのことだった。これがいざという時に大きな力となる。平常時であっても、そうしたコミュニティや絆が、みんなの幸せにつながるような地域にしていきたいと感じた」

◆これからの生き方について

堀場氏「自分が決めた生活レベルで生きようと思ったら、どのようにでも生きられる。現に戦時中も食べるものがなくても生きてきた。人間がパニックになるのは死にたくないの殺されるとき、食べるものがないとき。この震災を受けた方々でその想いを体験された方は、今の日本人よりもはるかに強く生きられる」「ライフスタイルというが、どの線で生きるか自分が決めたらそれでいい」

川畑氏「私が癌になったことから365日ありがとうと思っている。どんな時でも、ありがたいと思う生き方はできる」「人間も文化力が落ちてしまったんじゃないか。自然に触れて感性を磨くことがコミュニケーション能力を磨く。今の若者はコミュニケーションが下手。度が行き過ぎた文明が、不幸にしてしまっているんではないか。何が本当に大切なのか、ここでもう一度問うてみることが大事じゃないか」

◆幸せはどういう時に感じるか

堀場氏「日本は、知的水準の高い人ほど悲観論。低い人ほど楽観論。ものは考えよう。終戦直後を考えれば今の生活は、王侯貴族の生活。何を水準に考えるかだけ」「人は瞬間、瞬間しか自分をコントロールできない。瞬間、瞬間において自分を最高の状態に持ってくることが大事」

川畑氏「明日のことは考えない。今日一日を最高に過ごす。それを考えることが一番幸せじゃないか」「複雑性と多様性があるから、ダイナミックになる。もっと、自分のフレームからはみ出した方が良いのでは」

門川氏「ちょうど教育長に就任した際に、私も10年前に胃がんの手術をした。このとき親父が”これも勉強の機会”だと言ってくれた。その時、その日その日を大切に生きていくということを痛感し、食べれる喜びもおおいに感じることができた」「市政としては、その日その日ではなく、京都市として”持続可能”なことを考えて行きたい」

◆これからの未来について

堀場氏「人生は1秒先もわからない。たが、『未来というものは絶対に予想できない。しかし、未来というものは皆で創ることができる』とアラン・ケイという(パソコンの生みの親)人物がいった。これは、とてもすごい言葉だと思い、みなさんに紹介したかった」

門川氏「私の好きな言葉は『行動する楽観主義』。確信を持って行動すれば必ず良い方向へ進む。30年後の京都を会場のみなさんと一緒に創っていきたい」

(文責:岡本)

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